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エイプリルフールの悪夢 R15 2

2 天罰は下る

 その昔、彼女はちょっと嫌みな女の子だった。
「あ~何だか分かる気がする。」
目の前で友達の詩音ががつがつと朝のブッフェを頬張りながら答えた。
「なによそれ。」
肝心の結衣は5杯目のグレープフルーツジュースを飲み干す。場所はホテルのダイニング。宿泊プランの朝ご飯が一人分浮いてしまったんで、愚痴を聞いてもらおうと同僚兼親友の詩音を呼び出した結衣だった。
「だって見るからにそんな感じじゃん?超ミニの制服に可愛い系メイクばっちりで
『あたしって女の子♡』
ってやってたんでしょう?」
「うっ!」
「男は3ヶ月ローテーションで、掛け持ちは当たり前。嫌いな女の子の彼をかっさらうのなんか朝飯前っつー。」
「何だか見てきた様な事言うわね。」
図星である。しかも罰ゲームで告って
『イエス』
を聞いた瞬間に捨てた男も数しれず。
「でも今は真面目だもん。」
「ははは。今更罰(ばち)当たった?」
彼女はスモークサーモン挟んだベーグルを頬張る友達を恨めしげに眺めた。
「誰がここの朝ご飯奢ってやってると思ってんのよ!税サ込み 3650 円だからね!」
「は~い、結衣様。今度あたしも何か奢るからね~。それにしてもここ最高!結衣も食べな♪」
皿の上にはカスタードたっぷりペストリー。
「今は無理。」
さすがに高い酒は二日酔いしない。だからって言って気分が冴えてる訳じゃない。
 思い起こせばここ数年。毎年エイプリルフールにはえらい目にあってきた結衣だった。去年はたまたま何も無くって、
『呪いが晴れた!』
って喜んでいたのに。
「はぁっ。」
6杯目のジュースを飲み干しながら頬杖ついた。
「やっぱ罰かな。」
なんて。彼女は6皿目に手をつけている詩音を尻目に独り言の様に話しを始めた。
 アレは高校2年の頃だった。彼女にはライバルがいた。名前?そんなの覚えていない。兎に角嫌な女。同じクラスでいつだって張り合って。結衣はどちらかって言うとナチュラルなリカちゃん系。彼女はイケてるジェニー系。似てる様で違うから。シェアだって微妙なライン、リカちゃんの一人勝ち。ふふふっ。負け越しのジェニーは
「だいたい小魚捕まえたって面白くないし~。」
って言い出した。
「私のお兄ちゃんみたいな極上の男捕まえられないんじゃ駄目っしょ。」
なんてね。
「だったらそいつ、連れてきな。堕としてやるから。」
宣戦布告。
「ふざけないで!!」
ジェニーは真っ赤になって怒り出し
「だれがあんたなんかに大事なお兄ちゃん餌食にさせるかよ!」
これで結衣はピンと来た。
『だったらそのお兄さんを堕としてやるもんね~。』
ほくそ笑む。ジェニー墓穴。そしてそのチャンスは意外な所でやって来た。
「あっ、ジェニー!」
夏休みに遊びに行っていたホテルのプールサイド、結衣の友達が彼女を発見したのだ。そしてその横には少し年上っぽいかなり雰囲気のいい男が笑ってて。
「アレ何?モデル?」
ひょろっとしているけどうっすら筋肉質。むだ毛も濃くないし、照れくさそうに笑う姿が何とも美味しそう。
「じゃ、行ってきま~す♪」
結衣は素早く獲物を見つけるとするすると近づいた。一緒に来ている今彼なんかどうでも良いって感じ。
「あれ~ジェニーじゃない?こんなとこで会うなんて奇遇ね~。で、この人だあれ?紹介してよ。」
逃げようとする彼女を上手い事捕まえ、
“極上お兄様”
のプロフィールを聞き出した。それはもうトリプルA。一流の私立高校、インターハイには2年連続水球で出場。なるほどの腹筋。しかも
「俺は競泳じゃ二流だったから水球やってただけだし。」
な謙虚さも抜群。その上今年の冬にはで某私立大学の医学部狙ってて。
「大樹(ひろき)さんって凄いですね!今度勉強教えて下さい!」
「ここには息抜きで来たの。結衣ちゃんの事面倒見る程お兄ちゃん暇無いの、ごめんね~。」
なんて可愛くかわそうとするジェニーを脇に置いて必至で売り込みかけた。そのかい有って
「あれ、君、妹の友達だったかな?」
偶然を装った学校前の待ち伏せで彼のアドレスを聞き出した。
「今年受験なんですね。頑張って下さい。」
そんな事言いながら。
「有り難う。君も頑張ってね。2年って言ったら一番勉強がキツくなる頃だしね。」
彼だって相当遊んでいる口だって思った。どう見たって女の子が放っておくタイプじゃない。だから適当に誘いかけたら気分転換とか言っちゃってカラオケ行ってキスぐらい朝メシ前だって。所がどっこい。彼は手さえ握らない。
『こんなんで良いのかよ、青春!』
心の中で愚痴りながら見た目よりもぐっと真面目な彼にくらって来てた。塾の合間にくれる
『今日はいい天気だったね』
なんて短いメールをずっと保存しておきたくって、彼以外のメールは片っ端から削除して。
「う~、ヤバいかも。」
って良いながら、彼に本気出し始めてた。データフォルダも隠し撮りの大樹で一杯。プチストーカー。
『あのね、受験終わったら告白させてね。』
それはクリスマス24日に送った決死のメール。届いたのは
『早く3月になりますように。』
って控えめなイエス。その日に向けて結衣は身辺整理してお小遣いも貯めて脱毛もした。それなのに。
「会えないのかぁ・・・。」
彼は忙しいって。1月に入った頃からやたらとテンション高いジェニーを尻目に結衣の方は下がる一方。そしてやっと会えた受験直後のプチデート。
「少し考えさせてくれないか。」
思わせぶりに微笑んだ、挙げ句に
「ゴメン、ジェニーから電話で呼び出されてしまってさ。行かなきゃ。」
そして日も長くなった土曜日の夕方、
「後でメールするから。」
の言葉と共に彼女は一人取り残されて。
「嘘~。酷いっす。」
それから後に友達と遊びに行く気にもなれず家に帰って部屋にこもった。結衣はもちろんこの時の大樹やジェニーの家族の事情なんかなんにも知らなくて、単純にふてくされていた。それから返事をくれない彼に
「なんだよ、結局あんたの方が遊びだったのかよ!!」
思わずぶち切れてしまった。だから
「ジェニー、あたしね、あんたのお兄さんに振られちゃったぁ。」
朝一の教室で彼女は大きな嘘をついた。
「大樹に告ったけどね、駄目だって。本命いるんだって。ここだけの話しって言われたけど、あんたの事嫌いだから教えちゃう。あいつ、妹のあんたが好きらしいよ。近親相姦ってヤツ?」
ふざけてただけだった。でも彼女は真っ青になって教室を飛び出しそれっきり。結末を聞かされたのは2週間後。ジェニーの友達が結衣を思いっきりひっぱたいたその時だ。
「あんたの所為で!」
って。彼女は自殺未遂して、両親の離婚が決定して、退学していた。
「あの子ね、本当にお兄さんの事好きだったんだよ。でも家族を壊すのが嫌だったから耐えてたんじゃん?何考えてんのよ、あんた。もう、最低!!!」
そんなつもりはなかったって、後の祭り。やっと決心して謝りに行った4月1日は丁度彼らの引っ越しの日だった。
「結衣ちゃん・・・。」
彼に見つかって、素早く腕を引きずられ近くの露地に連れ込まれた。
「今更何しに来たの?」
って。彼の目を見れずただ
「ご免なさい。」
繰り返し、
「君は良いよね、幸せで。」
その痛い声を聞いていた。
「そうやって可愛くかしこまっていれば何もかも許されるって思ってた?いい加減にしてくれないか。君は最低だ。」
って。
「違う。」
泣きながら首を振り、その仕草の全てが火に油を注ぐ様に彼の怒りを招いた。
「君のついた嘘で僕たちがどうなったか。一生忘れないで欲しいものだね。」
それが運命の4月1日。あの日以来、結衣は生き方を少し変えていて。その上振って沸いた様に不幸なことが起こる、それが4月1日の彼女のお約束になっていた。


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Date:2009/03/26
Trackback:0
Comment:2
Thema:自作恋愛連載小説
Janre:小説・文学

Comment

* こちらも読ませて頂いてます☆

最初からかっ飛ばしな展開にハラハラしてたら…『つづく』…(号泣)

廣瀬さん、アタシ、まんまと『廣瀬流が留』産のドラッグにハマっちゃったみたいです(笑)
『シュラバスキー』も♪

今、複数の連載中を抱えてらしてお忙しいでしょう?
応援してます!
だから、無理にコメ返しはなさらないで下さいね!

アタシとしては廣瀬さんの執筆活動に、少しでも励みになればと思っての自己満なんで(笑)

だって、執筆活動って孤独…なんて後書きをお見かけしちゃったものだから(汗)

アタシも廣瀬さんに負けないくらい頑張りますから!!
2009/03/27 【コト子】 URL #3un.pJ2M [編集]

* > コト子ちゃんへ

いえいえ、コメント返すの超!楽しいですよ♪
書いたものを自分以外の人の視点で読み返す為のヒントになりますし、
コメントを考えている時ってこれで結構頭使うので、
かなり良い刺激になってる気がします。
でも本当、コメントもらえるのって励みになります!

私は他の作者様と少し違っていて
読者様が多いとか、アクセス数が多いとかあまり気になりません。
なのですが、自分の言葉が正確に伝わっているかとか、
共感してくれる人がいる事の方がもっと大切なのです。

ですからいらっしゃって下さった方が
ご自身の言葉でコメントをくださるのが
とっても嬉しいのです。
これからもよろしくお願いしますね~♡

2009/03/27 【廣瀬】 URL #- [編集]

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