ストーリーズ・イン・シークレット

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1 私の男

 昔から
『涼子は顔が濃い』
と言われた。                    
『大げさな顔だね』
って。別に好きでこんな顔になったんじゃない。
「で?それがなんだって言うの?あなたはさっぱりさんねって、言って欲しいわけ?」
って切り返してやると、だいたいがいやな顔するけどさ、でもね、言っとくよ。最初に仕掛けてくるの、向こうだから。
 神田うのと押切もえちゃんを足して2で割った顔。そう言われて褒められているって思える方がどうかしていると思う。誰に聞いても第一印象は
『気が強うそう』
挙げ句に
『人の男盗ったことあるよね?』
とか
『女王様』
だったりして。嫌になる。それって、タダの顔見知りに言う言葉かなぁ。
 あまり太っていなくてどちらかって言うと細身な事も災いしているのかもしんないけど。
 性格を勝手に決められるのが大嫌い。外見と私の中身は関係がないって言うのに。それでもあたしはいい人だから、そんな周りの期待に応えて演技してやるけどさ。
 こう見えて、嫌われ者ってなかなか良いものよ。だって自分の言いたい事、言えるんだからね。
「あんた、馬鹿じゃないの?こんな領収書で経理通せる思ってんの?」
なんてね。おかげであたしの所に伝票持ってくるヤツはクリーンなヤツばっかで、そいつらには優しくしてやるし。それに仕事に関しては信頼もらってるから。楽と言えば楽だ。
 身長も少し高めだから、普通の人の膝丈がミニになる。子供の頃に新体操をやっていたおかげで10cmのヒールなんかちょろい。馬鹿な男は女はブランドものを送れば喜ぶって信じているから、小物で不自由もしない。

 でも本当のあたしは違う。みんなが望んでいる私は作り物だ。カフェとか言うものよりも定食屋の方が美味しいって思うし、日本茶と煎餅はいつでも冷蔵庫に入っている。手焼きの醤油煎餅をばりばり食べるのが最高に好き。休日は出歩くより家でのんびりしているし、ジャージ着て香港系のギャグ映画で笑ったり、近くの豆腐屋にタッパー持って買い物にも行く。ネイルアートも少しぐらいはするけれど、糠床を手入れしていてビーズが落ちてからは少し懲りていた。お化粧は大好きだけど、ケバく見えない為の技術磨いているって感じ。服を買いに行くのもセンスに自信がないから、いつも友達に選んでもらってそれを買っている。
 今までで一番大切な人はおばぁちゃんだ。そのそのおばぁちゃんが去年天国に行ってしまって。それから私は少し変わってしまった。何だか虚しくて、今を凌いで生きていかなきゃって思える様になってしまって。
 だからやり友を作った。
 後腐れのない男。そこそこ真面目で、会社の信頼が厚くて裏切れず。彼女持ちで本当はあたしみたいな感じの女とは本気でつき合わないだろうなって、そんな男。彼には守りたい物が有るから、深みにははまったりしない。二人とも。

 隔週の金曜の夜。彼は遠恋だから彼女持ちなのに週末はぼちぼちで空いているらしく、昼休み、メールが届く。
『今晩一緒に飯食わない?』
なんて。だいたいこういう夜はそれぞれの同僚と飲んだりする。それからさよならして、合流。だから本当は一緒にご飯なんか取らない。まぁ、同じ会社同士だしお互いの付き合いが重なっているからこういう関係になったわけで。それでも彼のメールが言いたいのは
『今晩セックス出来そうか。』
って事。
 男ってのは溜まるらしい。
 月に2回ってペース。その度に
『男ってこういう生き物何だぁ。』
って思い知らされるあたしがいる。
 馴染みのホテルは道玄坂の外れ。ちょい寂れ気味で、人通りが少なく。御泊まりが0時からというしょぼさに、ポイントカード付き。部屋は手狭で、全てが壁より。時々ベッドの横の機械が壊れていて情けなくなるときが有る。それでも清潔な事だけは取り柄だった。
 最初にあたしがシャワーを浴びる。その間、彼は手前のコンビニで買って来たビールを飲んで。
 二人とも贅沢できる身分じゃないから、ホテルの1缶500円のビールなんてやってられない。でもそれよりも。飲まなきゃ抱けない男って何だよって思う。
 勝手知ったる仲だし、メイクを落とさないで寝るとひどい事になるって事は25過ぎて身にしみていて。すっかり身ぎれいになったあたしの後に彼がやってくるのがいつものパターン。ビール、飲み干してから。
 この関係も1年を過ぎ。マンネリで。それでも楽しくやっていた。人ってコレで結構単調ってのが好きなのかもしれない。
 狭いバスタブに泡立ちの悪いバブルバス。擦るとちぎれる虚弱なスポンジにポンプでソープ垂らし。二人で垢を擦り合う。世俗の垢ってヤツね。
 彼の体はキレイ。ガテンじゃないけど、そんな感じ。それだけでも良いやって。自分が肌合わせる男が良い躯していたら、ちっとはすくわれる気分になる。そうでしょう?



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Date:2009/03/20
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Thema:恋愛:エロス:官能小説
Janre:小説・文学

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