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7 キスキスバンバン

 どんな女にもキスできる、というか女がキスしちゃう様なスチュエーションを作る、男のアプローチの仕方って知ってる? 簡単さ。ちょっとしたテクニックだ。
 大体、男の方が女より身長が高いって相場が決まっている。俺で175弱。たとえ相手がハイヒールを履いていても、ほとんどの場合目線は同じゃない。その彼女に、しっかりと背筋を伸ばし、腰から近づく様にするんだ。きっと彼女はたじろぐ前に、君の顔を見上げる。その“見上げられるポジション”意識してアプローチする。この時、絶対目は反らさない。そして彼女の顔を覗き込む。少しでもその気のある彼女だったら、やんわりと上を向いてくれる。そうすれば当然、自然に唇が開くから。そこに思わせぶりなキスを落せば良い、軽くね。
 グロスのねっとりした味がすれば、かなり良いライン。だって女は勝負したいとき、あらかじめグロスをたっぷり塗っておくものだ。つまり、最初からその気だったって事。これがカサカサだったら、その後の見込みはかなりダウン。でも必ずこっちから謝る
「ご免ね」
君が魅力的だったからついついやっちゃったって。彼女だって雰囲気に流されちゃった所有るはずで、お互い悪い気はしないはず。
 あっ、でも注意して。彼女の体の他の部分に触れるのはNG。下手に腰に手を回したり、頭を支えるのも無し。女ってのは、これで結構肉体的な束縛を警戒する生き物だ。その上、男が支える事で彼女の足下が安定するから、あっさり
「嫌、駄目」
って押し退けられやすくなってしまう。俺みたいなイケメンでも、責め過すぎると逆に引かれる。ここ、要注意。
“ちょっとだけ強引な人が好きなの”
の強引さは、あくまで女性の目から見た感じのちょっとだけ。結局、体目当てで迫っていると思われたら、まずアウト。それに、それはもっと仲良くなってからやれば良い。
 ファーストキスだったらなおさら。唇と唇が触れそうになった瞬間、ちょっと引き止め、彼女の睫毛が揺れるのをじっと見つめるんだ。そうすれば、ほら、彼女は瞳を閉じて、君のキスを待つ。
 もちろん、よっぽど嫌われていれば別だ。
「距離近すぎ」
なんて君を傷つけない様にはぐらかされたら、これからの二人の関係のためにも、上手く言い逃れてくれ。面倒くさいのはご免だ。
 とまぁ、兎に角だ、キスなんてそんな所。だった。そう、過去形。何かが俺を躊躇わせ、彼女に近づく二歩手前で、抑制がかかり
「折角のヤドリギの下だし」
とか言って、体が勝手に入り口の上を指差す。すると彼女は、ニヤッと笑って
「潤さん、疲れ過ぎ」
交わした。
「あ~やっぱそう思う?」
俺はおどけた声で、片方の眉を上げた。
「絶対、そうです」
同じ様に彼女も片方の眉を上げ、俺が感じているじれったい気持ちを冗談にした。
「全く、潤さんって、志努さんから聞いたまんまですよね」
と。俺は、大体の予想はついてはいるものの
“どんな事聞いてるの?”
の顔で、続きを待った。
「“なんちゃってイタリアン”入っていて、出会った人を口説かないのは礼儀違反だって信じているから、知らず知らずのうちに体が反応してナンパしてるって」
「あ~マジ?」
おどけて答えながら、俺の胸はチクッと痛んだ。どうして兄さんがそんな風に表現したのか、その理由を知っているから。
 人数だとか、いつだったとか、ついでに名前だとか、全部忘れた。多分、もう一度会えば思い出すだろう、程度の曖昧な記憶。でもとりあえず、今まで兄さんが付き合ってきた彼女の半分以上、確か片手の数ほど。
『兄さんの新しい彼女さん? うわっ、凄い美人だね』
しかも金がかかっている。
『ねぇねぇ、どこで知り合ったの? 君みたいな可愛い人と出会えるんだったら、俺もそこに行かないと』
本当は俺とは無縁なセレブな社交場だって分かっていてそう聞く。
『へぇ、そうなんだ。俺もそういうの、好きだよ。俺達気が合うね』
そして
『だったらさ、今度ゆっくり話を聞かせてくれない? 別に変な事するんじゃないから、兄さんに悪いなんて思う必要ないし。一応俺のメルアド、これね。気が向いたら連絡頂戴』
押して引く。それから次の日に届くお決まりのメール
“実は、相談したい事が有るの”
こんなとき女の使う手はワンパターン。どうすれば男の気を引く事ができるか分かっているから、一番効果のある方法で罠をしかけ
“友達の事でね、彼には話せない内容だから”
あなたを見込んで、頼りにしている、と男を持ち上げてくる。そう言われて、嫌って言える男なんていないだろう? でも決して自分の相談なんかじゃなく、あくまで他人の事、話のネタ。そして現れる、無駄に気合いの入った髪型と、露出の高いミニスカート、濡れ
た唇、甘すぎるコロン。
『凄く、ゴージャスだよ』
全身でガールズコレクション、意識してて。
『公平さんだったら控えめな方が良いかもしれないけど、潤君と歩くんだったら、これくらいしなきゃいけないだろうなって』
相手に合わせた振りをして、本当は着飾って周りを威圧したいんだろう? なんて俺は邪推をする。こんな瞬間、女って生き物は自分の事を誰よりもキレイだって思って欲しい生き物だなって、そう思うんだ。
 他愛も無い、上辺だけの相談の後、お決まりのサヨナラがやって来る。彼女達を自宅に送った玄関先、
『今晩は楽しかった。ありがとう、話を聞いてくれて』
自分から誘うべきかどうか迷う女。だから俺は一歩踏み込んで彼女を見下ろすんだ。そして、キス。挨拶程度の、軽いショット。本気を伝えるほどじゃない,ペパーミント味のキャンディー一粒。引き上げた頭をもう一度おろし、キメのセリフを撃ち込む。
『今度会う時は、そんな魅力的な格好、しないで。じゃないと俺、君に堕とされそうだよ』
バン・バン・バン! すると、女の長い爪の先が俺のシャツに食らつく、これがいつもの成り行きだ。
 全てが終わった後、俺は彼女の前で
“公平兄さん”
の名前を連呼する。最初は優越感を感じていたはずの女性でも、それからたびたび三人で顔を合わせる事になれば、さすがに罪悪感を覚えるらしい。当然俺は二度と彼女と関係を持つ事は無い。
『兄さんに、申し訳ないよ』
誠実な兄さん、優しい兄さん。三越で誂えたフルオーダーのスーツ、さりげないエルメスのビジネスバックに、アンティークのロレックス。財布の中に目立たない様に仕舞われた外資の黒いプレミアムカード。
『兄さんを傷つけるなんて、最低だよ』
俺もお前もね。
 やがて兄さんは薄々気がつき始める。彼女が俺にくれる視線と、俺が無視するその態度に。
“別れた”
の短いメールをもらう度、俺は素早く打ち返す。
“正解だと思うよ。彼女に兄さんはもったいないよ”
 全ての女が兄さんの魅力を金でしか見ていない、なんて事は思わない。でも、兄さんが持っている財産の魅力は計り知れない、そう思う。金の所為で、兄さんの良い部分が翳んで見えてしまうんだ。だから時々考える。金を持っているだけが幸せじゃないって。と同時に感じる事、俺も幸せじゃない。俺には資本力は無いけれど、持って産まれた
“タラシ”
の才能が有る。俺に惹かれる女は、決して俺自身を好きになってくれているんじゃない。彼女達が魅力を感じているのは、着ぐるみの外側、キレイに見えているカラダの一部分だけ。
 もし兄さんに、財産が無かったら。もし俺に、この容姿が無かったら。俺達の人生は全く違っていたはずで。
 そして迷うんだ。目の前にいる荒川ちゃんが、俺の中の
“何か”
を見つけてくれるたった一人の人だったらどうしよう、って。





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Date:2010/12/10
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Thema:自作恋愛連載小説
Janre:小説・文学

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