FC2ブログ

ストーリーズ・イン・シークレット

恋愛小説置いてます。

11 パンドラ

        R18 性行為を描写する文面が多く含まれます ご注意ください!!

 彼女の抵抗を無くした左手は、つかんでいる彼の左手と共に小さく振動を繰り返し、その響きは一直線に真琴の頭まで突抜け、小さな星を散らす。
 くちゅくちゅくちゅ。泡立つ様な水の音、熱気のこもった女の部屋。彼は使い慣れない左手を器用に動かしながら彼女を絶頂へと導こうとした。奥へ、手前へ、奥へ、手前へ。
 真琴は自分が置かれた状況がどんなものか分かっていた。おもしろ半分、興味本位で弟にいじられている事を。これは愛の行為ではなく、ただの遊びにも満たない
“慰み事(なぐさみごと)”
この男はただ自分の欲望を真琴にぶつけているだけ。雑居ビルの一階にあるレンタルビデオ屋で、
“今月一押し作品”
に飾られたアダルトビデオを借りる、そんな感覚なんだって。
 それでも彼女は抗えなかった。理由は彼がもたらす快感と言うよりも、彼女の柔らかな内側に食い込む細い指のせいだ、そう彼女は感じていた。決して交わるはずの無い二人。交わってはいけないはずの姉弟が、まぎれもなくつながってしまっているという事実に驚愕しながらも、彼女を弄ぶ事で彼が感じている快楽を思い、してはいけない事というものがどれほどまで蠱惑的かを思い知らされていた。
 彼の瞳は馬鹿がつく程真剣に彼女の表情を読みとろうとし、全神経を集中させ姉を感じさせようとしている。
『男はセックスの事しか頭に無い。でも自分がやりたいばっか。愛を確かめ合うって、そんなの綺麗事だよ』
真琴は男に抱かれる度、いつもそう思っていた。でもつき合っていると言う手前、セックスはしなければいけないから。三回に一回は我慢で、二回に一回はすべからく演技。当然、そんな男達に心底酔いしれる事なんかできなくて、一番感じるのは結局自分の指だった。その指に弟が代わろうとしていた。でも気持ちよくなるなんて有り得ないよってそう思う。どんな自称テクニシャンでも彼女を乱れさせた事は無い。いつだって張り巡らされた理性の歯止めが効かなくなる事なんか無かった。それなのに。真琴の心臓の裏側で拍動する動いてはいけないはずの心が彼に囚われ、体さえも縛られようとしていた。
 その時ふと彼の指の腹にはっきりとした何かが引っかかった。彼女の内側の丘に散らばった小さな隆起
「ここは、どうなの?」
Gスポット。名前だけは知っていたけれど、こんなにもはっきり分かるのは初めてで、司はむしろ迷いながらその場所への刺激を繰り返す。真琴には
『分からない』
と言うのが答えだった。にもかかわらず、彼女の中で今まで体験した事のない、快感とも言い切れない不思議な靄(もや)が沸き上がり、雲を作り
「あっ!」
小さな雨を降らす。
「あっ、いっ!」
嫌だ、と。何が起こったのか分からない。でも彼女の秘部から溢れ出した清水は確かの彼女のものだった。恥ずかしさのあまり股を締め上げ体をよじり、真琴は全ての力を振り絞りその流れ出した涎を止めようともがく。
「嘘、嫌、止めて!」
足掻けば足掻く程、彼女の膣は締まる。ほんの少し先を曲げた彼の指が彼女の膨らみに食い込み、その度ごとに透明な液が噴水の様に弾け彼を汚し、司は喜ぶ以上に呆然としながらその有様を眺めた。
「許して」
姉の唇が喘ぐ。
「もう、駄目、許して、お願い」
と。しかし彼の指に絡み付く柔らかくも固い肉壁は正反対の事を告げている。
『もっとして欲しい』
彼の指を締め付け、くいちぎらんばかりの勢いでうねり、溢れ出る愛液は彼の掌に水たまりを作っていて。
「コレのどこが嫌だっていうんだよ」
彼は充実感、と言うよりももっと違う、しいていえば彼女が女であると言う事に対する悔しさにも似た感情を抱きながらそう呟いた。
 言葉ではいやがっている彼女の体は、彼を放さない。そして司も。
 眉間に寄った深い皺、立ち昇る喘ぎ声。真琴の全てが女だった。そのくせ彼女は初めて知った内側から芽吹く蕩蕩と蕩ける感覚に躊躇い、何がどうしてどうすれば良いのか分からない。
「タ・ス・ケ・テ」
唇が泳ぎ、彼に救いを求めた。助けるどころか、彼こそがその蟻地獄へ誘い込む本人だと言うのに。そして彼女は
“イッた”
と言えるのかどうかは分からない、小さな爆裂を感じ、柔らかな羽の様に宙に舞い上がった。
 一方、司の指は一瞬の油断で飛び出していた。真琴の内側が急激に膨らんだのだ。ゴクリ。彼は唾を飲む音を隠す事も忘れた。司は本人以上に姉がイッた事を確信し、むしろコレでは自分が満足できないと唖然とした。あっけなさ過ぎる、と。ほんの少しいじっただけ。
“始まり五分”
の前戯で終わりだなんて
『感度が良すぎる』
と安直に褒めるより、女という生き物が持つ貪欲さ、まだその先にあるはずの快楽の渦に身震いが起こりそうだった。そう、コレは始まりに過ぎない。もしもう少し時間をかけ、彼が散々なまでに愛撫をしていて彼女がイッたのだったらのなら、この後の話は無かったのだ。彼が十分に女体を堪能し、焦らされ乱れる真琴の姿を味わっていれば、最初で最後とあきらめがついたはずだった。しかし状況は違う。黒い欲望を抱えてしまった男は、自分の気の済むまで女を嬲らない訳にはいかないから。自分が持つ全ての官能を、女に与えない訳にはいかないのだから。
 彼は決して姉の中に身を埋める事は出来ない、その事だけは分かっていた。
“セックス”
“挿入”
“本番”
様々な呼び名のあるソレこそが越えてはいけない第一線で。
『“越えなければ”良いんだろう?』
彼は毒のある声で自分自身に言い聞かせ、同時に更なる欲望をも抱いた。彼はどんな男よりもこの自分こそが男なのだと姉に植え付けたかった。例え本当のセックスをしていなくても、実の弟、しかも勝利ではない司の方がより彼女にとっての男なのだと、教え込みたいと願う。それはまるでパンドラの箱。
 彼女の中では緩やかな快感の残り火が燻(くすぶ)り、ひくひくと繰り返す痙攣が彼の目を奪う。そのくせ認めたくはないかの様に必死で意識を戻そうと悪あがきをする真琴の姿に、司は
『毒を喰らわば皿まで』
の言葉を思い出していた。
 焦点を取り戻しかけた濡れた瞳。快楽・疑い・後悔の全てを含んだ眼差し。彼がつかむ真琴の右手は硬直し、全身に流れているはずの甘い快楽とはむしろ対照的で、彼女の心と体の戸惑いを告げていた。
「マコ姉さん」
彼は何度も繰り返し姉の名を呼ぶ。
「マコ姉さん」
それは明らかに嫌がらせ。彼女が
“姉”
で有る事を忘れない様に。それは何よりも、今彼女の目の前にいるのが彼である事を刻印する言葉だった。
「マコ姉さん、もっと、ね」
力だけが入り張りつめ、そのくせ抵抗の二文字をなくした彼女の右の手を離し、彼は利き手の右手をそっと秘部にあてがい、開けてはいけないはずのパンドラの匣を開ける。
「もっと」
と。
「も、もっと……?」
彼女は何を言われているか分からないとでもいうかの様な声を出す。本当は嫌になる程分かっていると言うのに。
「もっ、もっとって?」
同時に差し込まれる細く長い指。突き抜ける快感と、男が放ち始めた生暖かい吐息。
「くふっ!」
仰け反る首筋、揺れる胸元。真琴はさも恥ずかしいとでもいうかの様に自由になった右手で自らの顔を覆い、同時に下半身をくねらせる。
 開かれた蓋の下、欲望という甘い香りと共に飛び出したのは、絶望と嫉妬と憎しみと。そして罪悪感。その秘密の小箱の奥底に、二人は一蓮托生とばかり堕ちて行った。


    戻る    禁断のTOP    つづく



ネット小説ランキング『禁断の果実』に投票♪ ← 1回/月

    honnavi_bnr5.gif    にほんブログ村 小説ブログ 恋愛小説(純愛)へ
  ▲ 1回/日     ▲ 1回/日    ▲ 1回/日

novel_bn_s.gif   eb00s.jpg     webrank-banner.gif  
  ▲ 1回/日     ▲ 1回/日    ▲ 1回/日

b_search.gif   H小説ランキング   .+エロカワ恋愛小説+. 
  
MEGURI-NET
スポンサーサイト




 
 

Information

Date:2010/01/08
Trackback:0
Comment:2
Thema:自作恋愛連載小説
Janre:小説・文学

Comment

* あ

とうとう・・・
すっごい罪悪感を感じながらも・・

そうなってしまう「もの」って凄くて怖いですよね。
緊張しっぱなし!
2010/01/09 【tomo】 URL #- [編集]

* > tomo ちゃんへ コメントありがとう♪

この普通じゃない状況を、二人がいかに呑み込んだのか。
書いていてどっぷり浸かっていました♪
うふふっ。
2010/01/09 【廣瀬】 URL #- [編集]

コメントの投稿







 ブログ管理者以外には秘密にする
  1. 無料アクセス解析