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ストーリーズ・イン・シークレット

恋愛小説置いてます。

3 開かれた扉



 ジーンズを身に着けたまま彼は水栓のコックを捻ると
「目、閉じて」
そんな事を言いながら彼女の頭のてっぺんから暖かいお湯を流す。
「まだ洗ってないんでしょ?」
浴室に漂っているのはカルキの様な香りだけ。
「俺がやってあげるから」
つまり、彼女の躯を洗ってあげるのだと。
「嫌」
そんな風に彼女が小さく固まっても彼は容赦などしない、そんな事真琴は知っている。それでも微かに抵抗し、
“自分”
ってヤツを主張する。
「いいから、遠慮するなって。ほらこれ」
司は落としてしまったプラスチックの入れ物を拾い上げると無理矢理彼女の手に押し付けた。それは最近女性達の間で流行っているフランスの自然派化粧品のメーカーで。
「旅行のお土産で友達からもらったんだよ」
笑いながらそのうちの1つのキャップを回した。たちまちバスルームにはラベンダーの甘い香りが漂って
「いくら何でも俺がこれ使うのは反則でしょう?」
そんな都合のいい事を言いながら彼女の体を反転させた。ガードしていた胸元から一変し、無防備な背中が曝される。その恥ずかしさを悟られない様に
「止めて欲しいって言ってるんですけど」
彼女は曇った鏡越しに彼の方を見やった。おどおどしたら彼に負けてしまう、そう思った。
「へぇ」
司はその手の先に目の前にある固形石けんをちょこんと付け、真琴の躯の横から腕を伸ばし鏡を拭く。その曇りを無くし開けた視界に瞳を潤ませた真琴が映り
「いいじゃん」
彼は声をひそめ囁いた。
「少しぐらい」
彼女はぎゅっと唇を噛んだ。曝け出された世界で、彼の事を見つめ返す勇気は続く事はなく、その視線を僅かに逸らす。
「好きだよ、その、真琴姉さんの表情。いやらしくって。そんな目で見られるとぞくぞくするよ」
そんな事は無い、そう言いそうになり彼女は立ち止まる。それは
“嘘”
だから。そんな事無いって事は無く、大有り。彼女の体は
“女”
で、彼はまぎれもなく
“完璧に魅力的な男”
だ。そう、弟である事を除けば。
「素直な好い子だね」
たたらを踏む真琴を尻目に司はシャワーヘッドを戻し、両手にシャンプーを取り分けると、それを彼女の綺麗な黒髪になすり付ける。
「気持ち良い事、してあげるから」
流し続けているシャワーが彼の下半身をも濡らしていた。

 きっかけは3年前の夏の事だった。司は高校3年生で、真琴は短大の2年生。油断していたのは真琴の方。暑くむせ返る昼下がり、彼女は家に帰る道すがら欲情していた。高校の頃から彼氏が途切れる事は無く、躯の方もそこそこ出来上がっていて。でもだからといって
“必ず感じる”
ほどでは無く。つまり、ついさっきまで彼氏とよろしくやったものの彼だけが先にイッてしまい、彼女は演技で誤摩化したという訳だ。女の身の上でこういう事はよく有る。友達と話しをしていて
“痛いばかりで感じない”
子は沢山いるから、
“感じる”
自分はマシだって思ってた。それでも中途半端に
“突っ込まれ”
要求不満は残ってる。
「えっちがしたい」
彼女は火照る躯で家の中を彷徨った。誰もいない。たしか二人の弟は部活で帰りが遅くなると言っていたはずだから、安全。両親はいつだって7時前に帰って来る事はない。
「したいなぁ」
この場合の
“したい”

“イキたいっ”
って事。彼女は浴室からバスタオルを持ち出し自分の部屋へと向かった。
 独りで
“する”
事には慣れていた。覚えたのは高校生の頃だ。二人目の彼氏が
“したがった”
から、初めての前に自分でいじって確かめてみたのがきっかけ。
「気持ち良い……」
その疼く様な快楽にセックスってもっと凄いんだって妄想を抱いて、実際してみたら自分でヤッたほうが確実に
“イケる”
と学んでいた。男なんて。彼女はその時にそう思った。
『ヤリたいだけの動物じゃん』
って。自分はさっさと満足して、女の方はどうでも良いんだって。
『気持ちよかった?』
そう聞かれ
『うん』
それでお終い。だったら性欲ってヤツは自分で解消した方が病気にもならないし気も使わなくって良いから楽かもね、なんて事を考え、
「私って猿かも」
そんな事を思いながらこっそりとするのが好きになっていた。どうせ誰でもする。酔いつぶれた明け方のガールズトークでみんなで順番に暴露し合った事もある。
『やらないヤツがおかしいって』
 そう、この日も誰もいない事を確認してから始めたつもりだった。
 ベッドの脇に敷いたバスタオルと開け放たれたドア。今日は暑いからエアコンでもかければいいのかもしれない、そう思いながら彼女はドアを開け放つ事を選んだのだ。エアコンは躯が冷えるので合わない。それに
“もしかして”
って危険に物凄く
“そそられた”
のが一番の理由だった。そしてそれが
“墓穴”
になる。
 一人っきりのベッドの上で瞳を閉じゆっくりと掌を体に沿わせ、
「しぃちゃん……。」
妄想の恋人の名を呼びながら、彼女はたくましい腕の中で身悶える夢を見る。その扉の隙間からのぞく二つの目が有る事にも気づかずに。


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Date:2009/12/11
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Thema:恋愛:エロス:官能小説
Janre:小説・文学

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