ストーリーズ・イン・シークレット

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2 卑怯者


 彼の姉は昔から有名人だった。つまり
“美人だ”
と。
 余田家は代々続くお茶屋の家柄で江戸時代には藩主の御用達でもあった。自然に財界とのつながりも産まれ、街では顔役となり、誰もが注目する様になる。
 その昔、彼女も高校生の頃はちやほやされる事が楽しくて、よくミスコンに出たものだった。学祭のクイーン、ちょっとした街のお祭り、それから公募のオーディション。毎回そこそこの成績を残し
『惜しいわね。もう少しだったのに』
と言われる事が続いた。だからといって
“綺麗なだけ”
で特に何の取り柄もない真琴(まこと)は決め手の無いまま大学を卒業し、地元では一流と言われる会社に
“普通に”
就職してしまった身の上だった。だからといってその目立つ容姿や行動が変わるという事は無く、むしろ周りがおもしろがって取り立てるものだから
“御嬢キャラ”
として君臨していたと言っても良いだろう。そんな彼女が苦手にしていたのは父でもなく母でもなく。ましてや彼氏でもなく。
“弟”
だった。
 弟と言っても二人いて。上が司(つかさ)下が勝利(かつとし)。双子の兄弟だったが一目見て二卵性と分かる程その様子は違っていた。
 弟の勝利は裏表の無い性格でいつもおっとりとしていた。どちらかと言えば無口な方で、言葉数は少ないものの不機嫌な訳ではなく、控えめな協調性で友達の輪を作っていた。顔の造作はハンサムなのだが
“イケ面”
と呼ばれる軽い感じでな無く、むしろ無骨な感じのする昔風の
“好い男”
だった。その彼は離れて暮らしている。
 残る司は家から通える距離にある大学に進学し、親元で暮らしていた。彼は勝利とは水と油。普通に第3ボタンまで外したシャツの胸元に誰一人として違和感を覚えない様な男だった。よく通る声でしゃべり、歌っても踊っても何をやらせてもそつがない。なめらかな白い肌には傷1つなく、もし彼が女性に産まれていたならば太刀打ちできる男がどれほどいるだろうかとさえ思わせる様な雰囲気の持ち主だった。その
“艶”
には女の真琴が嫉妬を覚える事すら有り。そしてそれは相手に依って様々に色を変える。時には思春期の少年の様なあどけなさで人を翻弄し、時には女衒(ぜげん:女性を売り買いする仲立ちの男)の様なこ狡さで疑いを煙にまき。
 その彼がうっすらと笑いを浮かべながら真琴のいる浴室のドアを細く開けたのだ。
「開けないで!」
彼女は体を覆っていたタオルをぎゅっと握りしめ、足の先からゆっくりと舐める様にせり上がって来る彼の切れ上がった瞳を遮った。
「やめて!」
すると彼はクスクスと鼻で笑いながら彼女に瞳を合わせるとその扉をそっと閉めた。
 体型だけに関して真琴は少し
“標準的”
だった。つまり激やせはしていないって事だ。その分腰回りや胸元は程よいボリュームを保ち、むしろ年ごろの男にとっては刺激的な体格と言えた。もちろん司でさえ例外ではない。
「参ったな」
彼は自分から覗き見をしておきながらそう呟くと、むくむくとせり上がり始めた自分の欲望を見下ろした。磨りガラス越しに警戒している女のシルエット。ほんの少し怯え、動く事も出来ずにいる。その
“か弱さ”
が男の欲望をかき立てる。
 司はその容姿の所為か彼は時としてホモセクシュアルだと思われがちだった。でもそうじゃない。むしろ女は好きだ。柔らかい躯に身を沈め、食いしばる歯の奥から漏れる喘ぎ声を耳にしながら自らを解き放つ瞬間を嫌だと思う男がいるとは到底思えない。彼とて同じ。ただ彼女は
“実の姉”
“本気で”
“一線を”
“越えられない”
一番大切な部分で相手にしてもらえないと言う予感が彼には有り。だからこそ彼は
“卑怯者”
になった。
 ふと思いし司は玄関に駆け戻る。行き場を失っていた真琴はその気配にほっとしたのもつかの間。
「俺が手伝ってあげるから」
その言葉を聴く事になる。彼はジーンズをはいたままそっと浴室に忍び込んだ。素足がぺたりと床に吸い付く。それからぎいっと鈍い音を立てその扉を閉めた。
「なっ、何考えてるのよ司。」
真琴は思わず後ろに下がってしまい
「あっ!」
飛び出していたシャワーフックに背中を小突かれ悲鳴を上げた。
「大丈夫?」
からん、彼は手にしていた小さな容器を床に投げ落とし彼女を引き寄せると、タオルで覆われていない剥き出しの柔らかな肌を見つめた。
「マコ姉さんはドジだね」
あんたの所為だよって喉元まで込み上げながら彼女は言葉にできず。彼の腕の中にすっぽり包み込まれその胸から立ち上がる
“男”
の匂いを嗅いだ。
「放してよ」
彼女は自分の中で
“欲望が持ち上がる”
瞬間が嫌だった。まるで盛りのついた牝猫みたいにいても立ってもいられなくなるそんな瞬間が嫌いだった。だからその腕に力を込め彼を押し戻すのだけれど。
「ああ、痣になりそう」
司は何事も無かった様に平然としながらその跡を指の先でそっと撫でた。柔らかく、まるで極上の楽器を愛でる様に。真琴はこれから先の展開を想像し躯を固くしながらうつむいた。
「何恥ずかしがってんだよ」
ハスキーな司の声が彼女の耳元で囁いた。



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Date:2009/12/11
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Thema:恋愛:エロス:官能小説
Janre:小説・文学

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